ブラフマンの埋葬 小川洋子

寂しそうな雰囲気で手に取った。小川洋子は群像の中のいっぺんを呼んだきりなのだが、この作品は言葉がかなり少なく、人物に対しても一切説明をしない夢のような小説になっていて、それが現在の小川洋子に対してのイメージとかなり違っていて、面食らってしまう・しかし、その静謐さ事が文学であり、生と死を書こうとしている私にはクリーンヒットした。私は彼女の小説をもっと読みたいと思ってしまっている。それでいいと思う。
どこかにある創作者の家の管理を任されている主人公と謎の生物ブラフマンとの物語。それは一夏のかすかな期間である。
物語は主人公が思いをかすかに寄せている雑貨屋の娘へ踏み込み、ブラフマンをおいて車を運転したときに終わる。ブラフマンは死に、雑貨屋の娘のみが埋葬へ参加しない。彼の友人である彫刻家の男は寡黙ないい男で、意地悪かと思っていた手編み職人のおばあさんもブラフマンの体毛で服を作り、黙祷してくれる。
この本の後書きにも書いていた作家さんの言葉を借りるならば、南フランスの光と風景を醸しだした小説で、その中で織りなす穏やかなゆったりとした時間が心にしみた。
ブラフマンは、ヒンドゥー教における超宇宙的な存在の名前らしい。

2026,5,20
2026/05/20(水) 18:05 読書 PERMALINK COM(0)